「パラメータ付け替え不変」とは?


物理では、様々な変換に対する数式の不変性や共変性が重要視されます。

その不変性の1つに、パラメータを付け替えるという変換に対する不変性、「パラメータ付け替え不変(以下、RPI と略記。reparametrization invariant の略)」というのがあります。

ここでいう「パラメータ」とは、高校数学で出てきた「媒介変数」のことです。
また「付け替え」とは「置き換え(置換)」と考えていいと思います。

本記事では、RPIとはどういうことかを例を使って説明します。

RPIの例


例えば x-y 平面上の、始点をA、終点をBとする曲線の距離は、高校数学で習ったように、
$$l = \int_{a}^{b} dl = \int_{a}^{b} \sqrt{dx^2 + dy^2} \tag{1}$$と表されます。(1) にはパラメータは含まれていません。

■ ① 曲線が \(y=f(x)\) の形で与えられる場合

曲線が \(y=f(x)\) の形で与えられる場合は、(1)を
$$l = \int_{x_a}^{x_b} \sqrt{1 + \left(\frac{dy}{dx}\right)^2}dx \tag{2}$$と変形して、(2)に \(\frac{dy}{dx}=f'(x)\) を代入すればOKです。
この場合、パラメータやRPIのの話は出てきません

■ ② 曲線がパラメータ \(\xi\) を使って \(x=x(\xi), \ y=y(\xi)\) の形で与えられる場合

パラメータを使うことで、より複雑な曲線を表現できるようになります。

曲線がパラメータ \(\xi\) を使って \(x=x(\xi), \ y=y(\xi)\) の形で与えられる場合は、(1)を
$$l = \int_{\xi_a}^{\xi_b}\sqrt{\left( \frac{dx}{d\xi} \right)^2 +\left( \frac{dy}{d\xi} \right)^2}d\xi \tag{3}$$と変形して、(3)に \(x=x(\xi), \ y=y(\xi)\) を代入すればOKです。

ここで、(3)で出てくるパラメータ \(\xi\) は曲線に沿って単調増加しさえすれば「任意」です。
数式がRPIであるとは、このようにパラメータが任意であるということです。


(3)がRPIであることを確認します。

例えば、(3)のパラメータを \(\xi\) から \(\xi’\) に付け替えるとどうなるでしょうか?
普通に置換積分してみます。
\begin{eqnarray}
l &=& \int_{\xi_a}^{\xi_b}\sqrt{\left(\frac{d\xi’}{d\xi} \frac{dx}{d\xi’} \right)^2 +\left( \frac{d\xi’}{d\xi} \frac{dy}{d\xi} \right)^2} \frac{d\xi}{d\xi’} d\xi’ \\
&=& \int_{\xi_a}^{\xi_b}\sqrt{\left(\frac{dx}{d\xi’} \right)^2 +\left( \frac{dy}{d\xi} \right)^2} d\xi’
\tag{4}\end{eqnarray}(4)は(3)の \(\xi\) を \(\xi’\) に単純に置き換えたものになっています。
これは、置換積分という面倒なプロセスを経なくても、単純にパラメータを書き換えればいいということです。これがRPIな式の特徴です。

RPIでない例


では逆にRPIではないのはどんな式でしょうか?

例えばポテンシャルエネルギー下での粒子の運動方程式
$$m \frac{dv(t)}{dt} = – \frac{dV(x)}{dx} \tag{5}$$を考えます。
(5)には \(v(t)\) の微分と \(V(x)\) の微分が出てきますが、\(V(x)\) は与えられた既知の関数ですので、(5)はtをパラメータとする \(v(t)\) に関する微分方程式です。
パラメータを \(t\) から \(t’=t'(t)\) に変換すると、
$$m \frac{dt’}{dt}\frac{dv(t’)}{dt’} = – \frac{dV(x)}{dx}$$となり、\(t’=t\) でない限り形が変わってしまうので RPIではありません。

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