電子ボルトの大きさをイメージする


素粒子の勉強をしていると、エネルギーの単位として「電子ボルト[eV]」というのが出てきます。ニュートン力学で慣れ親しんだエネルギーの単位「J (ジュール)」に換算すると
$$1 [eV] = 1.609 \times 10^{-19} [J]$$これを1,000倍ずつしていったものが [KeV](ケブ) 、[MeV](メブ)、 [GeV](ジェブ)、[TeV](テブ) です。

これらがどれくらいの大きさか感覚的にピンときますでしょうか?

同じ「キロ」「メガ」「ギガ」「テラ」でも、例えばコンピュータの記憶媒体の容量なら、私の場合下記のような感覚があります。
・フロッピーディスク・・・1.5[MB]
・CD・・・700[MB]
・私の家にあるブルーレイレコーダ、PCのハードディスク・・・2[TB]
そうすると、例えば1[GB]と聞いたときに「CDよりちょっと大きいくらいだな」というようにイメージできます。同じことを電子ボルトでもやってみましょう。

■ 1[GeV]、1[TeV] は日常生活と比べるとかなり小さい

陽子・中性子の質量をE=mc^2 を使ってエネルギーに換算した値がちょうど約 1[GeV]なので、[GeV]について見てみましょう。1[GeV]を定義にしたがって[J]に変換すると、
$$1[GeV] = 1.609 \times 10^{-19} \times 10^9 \simeq 1 \times 10^{-10} [J]$$マイナス10乗ジュールってどれくらいの大きさでしょう?

というか、そもそも1[J]ならピンとくるでしょうか?
1[J]は、100[g]の物体を床から1[m]の高さから落とした時、床につく直前の運動エネルギーですね(空気抵抗は無視します)。(mgh = 0.1 × 9.8 × 1.0 = 約1[J]より)

同じように計算すると、
「1[GeV] は、塩1粒(0.1[mg])を床から0.1[mm]の高さから落とした時に、床に着く直前の運動エネルギー」
ということになります(実際は塩の直径(粒径)が約0.4[mm]なので0.1[mm]の高さから落とすことは不可能ですが、ま、それくらい小さいということです)。「\(E = mc^2\) で質量をエネルギーに変換すると莫大なエネルギーになる」というイメージがあるかもしれませんが、陽子や中性子が1個エネルギーに変わったとしても日常生活のエネルギーに比べると微々たる量ということですね。

同様に、1[TeV]は、「塩10粒(1[mg])を床から1[cm]の高さから落とした時に、床に着く直前の運動エネルギー」です。まだたいしたことありませんね。

つまり、1[TeV]でも日常生活と比べると微々たるエネルギーということです。

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