エルミート演算子とは?


「エルミート演算子」とは何かを噛み砕いて説明してみます。
「反エルミート演算子」についても最後に書いてあります。
(演算子はよく記号の上にハットをつけますがここではハットを省略しました)


■ 「エルミート演算子」とは?の結論

まずは結論を書きます。

複素関数 \(\psi_1, \psi_2\) の内積$$\int {\psi_1(x)^* \psi_2(x) dx}$$の \(\psi_1(x)\) に演算子 \(A\) を施したものと、\(\psi_2(x)\) に演算子 \(A\) を施したものの値が等しくなるような演算子 \(A\) をエルミート演算子と呼ぶ。


■ エルミート演算子の定義

「エルミート演算子」の定義は
「ある演算子 \(A\) のエルミート共役 \(B\) が \(A\) 自身に等しいとき、\(A\) をエルミート演算子と呼ぶ」
です。

なのでまずは「エルミート共役」とは何かを知る必要があるでしょう。


■ エルミート共役とは?

ある演算子 \(A\) のエルミート共役 \(B\) の定義は、式で書くとこうなります。
(\(A\) のエルミート共役 \(B\) のことを \(A^\dagger\) と書きますが、\(B\) は \(A\) と無関係であることを強調するためにこの説明では \(A^\dagger\) ではなく \(B\) という記号を使います。)
$$\int {\psi_1(x)^* \left(B \psi_2(x)\right) dx} \equiv \int {\left(A\psi_1(x)\right)^* \psi_2(x) dx} \tag{1}$$何やら複雑そうに見えますが、この式はどこから出てきて何が言いたいのでしょうか?

そのベースには、複素関数 \(\psi_1, \psi_2\) の内積
$$\int {\psi_1(x)^* \psi_2(x) dx} \tag{2}$$があると考えることができます。
(複素関数どうしの内積は、一方の複素共役をとって積分します。
ちょうど、複素ベクトルどうしの内積を計算するには一方の複素共役をとって成分どうしを足し合わせるのと同じです。複素関数は無限次元の複素ベクトルとみなせます。)

(1)が言いたいのは
「下記の2つが等しくなるような \(B\) のことを\(A\) のエルミート共役と呼ぶ」・・・(3)
ということです。
・(1)の右辺・・・(2)の \(\psi_1(x)\) に何らかの演算 \(A\) を施したもの
・(1)の左辺・・・(2)の \(\psi_2(x)\) に別の演算 \(B\) を施したもの

これで「エルミート共役」の説明が終わりました。


■ エルミート演算子とは?

では、エルミート演算子の定義
「ある演算子 \(A\) のエルミート共役 \(B\) が \(A\) 自身に等しいとき、\(A\) をエルミート演算子と呼ぶ」
に戻りましょう。

これまでの説明から、これは
$$\int {\psi_1(x)^* \left(A \psi_2(x)\right) dx} \equiv \int {\left(A\psi_1(x)\right)^* \psi_2(x) dx}$$が成り立つような \(A\) のことをエルミート演算子と呼ぶことに他なりません。

これがエルミート演算子を私なりに言葉で説明したものです。


■ 反エルミート演算子とは?

ついでに「反エルミート演算子」も説明しておきましょう。

上の説明で \(A\) がエルミート演算子であることの定義は \(B=A\) でした。
それに対して、\(A\)が反エルミート演算子であることの定義は \(B = -A\) です。
つまり \(A\) が反エルミート演算子であるとは、
$$-\int {\psi_1(x)^* \left(A \psi_2(x)\right) dx} \equiv \int {\left(A\psi_1(x)\right)^* \psi_2(x) dx}$$が成り立つような \(A\) のこと、となります。

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